琉球漢方・その魅力

琉球とは
今から約570年前(1429)に成立した琉球王国という独立国であり中国を中心とした近隣諸国との貿易を中心に栄えていました。当時の日本と中国・朝鮮半島・東南アジア諸国をつなぐ交易の重要な拠点でした。15世紀から16世紀にかけて琉球王国は中継貿易を行い、大きく発展しました。独自の文化で繁栄を遂げ約450年間にわたり続いた王制の国は約120年前(1879)日本政府により沖縄県となりました。

日本漢方と琉球漢方
日本漢方とは主に急性期において『傷寒雑病論』における三陰三陽論を基本とし、慢性病においては気血水論を基に、一部臓腑経絡理論を取り入れて構築されています。漢方薬にはきちんとした配合理論があり、その組み合わせによって薬効が現れたり、損なわれたりします。漢方薬膳では漢方理論と本草学的薬効論に基づいて、生薬を用いなくとも、普通の食物素材を組み合わせ高い効能をもった食事を通して、日常の体質改善や治病に役立てることを目的とされています。
漢方薬膳学は、成分中心の栄養学とは異なり、本草学として漢方の世界で約二千年にわたって時代ごとに積み上げられ、培われてきた経験的な食物学です。薬膳では食事によって体質の改善をはかり、健康を取りもどすかという点に重きが置かれています。また、食事そのものは日常的なものであるので、漢方薬膳は現代医学や漢方医学などのような療法と併用することもできます。

漢方薬膳と沖縄薬草
日本国内で唯一亜熱帯気候に属する沖縄県には数多くの薬草が自生しており、沖縄本島のみならず各離島にも薬草が分布しています。沖縄県は全国一の長寿県と言われてきました。長寿者が多くおられるのも、古くからの食生活が生み出した医食同源の考えからきたものが要因と思われます。このような伝承料理、つまり「琉球料理」は薬草等を用いて作られており、栄養バランスのとれた料理として現在の長寿社会を支えてきました。近年では、海外からも琉球料理は健康料理として注目を集めています。

琉球漢方の歴史
唐・宋以後、漢方療法が入ってくるようになり、輸入された漢方薬は上流階級のみで使用されるようになりました。そのなか、民間でもその影響を受けるようになり、従来まで使用されていた民間薬を漢方役の代用として使い始めるようになりました。これらの代用薬をトゥヤーシグスイ(取合せ薬)といわれました。トゥヤーシグスイは漢方薬の原理を利用して、それと性質の似通ったものを使用するのであり、『琉球漢方』として独自の養生学が築かれてきました。

琉球漢方の材料
「薬草の宝庫」といわれる沖縄には百五十種類ほどの薬用植物があるといわれています。現在では、沖縄県内外、海外から約千種の薬草が栽培されています。古くは、貿易を盛んにおこなわれた琉球王国時代より中国を中心として脈々と受け継がれてきました。

琉球古来の言い伝え
古来より沖縄で自生および栽培されていた薬草は二百五十種類ともいわれ、古くからその効能を受け継がれてきましたが戦前戦後と薬草が自生する山野が破壊され種類が減ってしまいました。しかし本土復帰後、豊かになりその効能を受け継いだ人々は薬草の栽培を始め、近年の健康志向の高まりから沖縄の薬草が見直されるようになりました。現在では、畑などで見かける月桃(ショウガ科)には古くから抗菌効果があることが知られています。

現在手に入る琉球漢方
私たちのチームは、全国の生産者と提携し、元気な琉球漢方の生薬を手に入れる事が出来ます。

中国漢方(中医学) 和漢(漢方医学) 琉球漢方
歴史 漢代【紀元前200年~】 江戸時代【17世紀~】 琉球王朝時代【14世紀頃~】
医学体系 中国伝統医学

処方は比較的に広範囲に渡り、特に中国宋・金元・明・清代に作られたものを使用しやすい。

漢方医学は、中医学を基に日本人の体に合わせて調整・発展した。

中医学は5~6世紀に伝来後、飛鳥時代に導入された(大宝律令)。

南西諸島の動物・植物を用いた食養生。

約500年前の中国から来た冊封便の記録によると、琉球には医薬はないが、人民夭逝せずと記してあり、4~500年前までは医術と称すべきものはなかったと思われている。

主な文献【医学書】 黄帝内経(こうていだいけい) 傷寒論(しょうかんろん)、金匱要略(きんきようりゃく) 御前本草(ぎょぜんほんぞう)
処方 生薬の組み合わせによる
【方剤】を用いる。

例:【葛根湯】は生薬の「カッコン(クズの根)」「タイソウ(ナツメの果実)」などから組み合わされる方剤名。

西洋医学の蘭学を「蘭方」、中国医学を「漢方」と区別した。

「漢方」という言葉は日本独自の呼び方。

主に保険診療で用いられる。

中国交易を通して中国の医学・食療養生思想の影響を受け、沖縄で手に入る食材を用いた沖縄独特の養生食として発展した。

自費診療で用いられる。

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